『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』、視聴後の評価と感想(1回目)

誓いのフィナーレが公開されたので早速見てきた。

仙台ではmovixでしか上映されていなく、電車で長町南まで。案外映画館まで歩いた気がする。客入りはなかなかのもので21:20開始であったか8割ほど埋まっていた。

 

さてネタバレを含むためまだ見たい無い方はブラウザバック推奨である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の映画であるが、ツイッター等を見るに評価している人たちが大半ではないかと思う。私自身、映画は確かに面白かった。しかし、今回が最終章であるか、否か、ということで評価は大幅に変わるのではないかと思う。

 

映画のクレジット後、久美子が部長になったことで映画は終了する。視聴者は当然、続編を考えるっであろうが、本当に続編が製作され得るのであろうか。

 

というのは、「フィナーレ」という副題にもあるように今回が最終話であるとしても問題はないという点にある。

もちろん、今後の伏線は膨大にあると思う。まずは、私が続編があると仮定した場合の目につく限りの伏線を列挙してみたい。

 

・久美子と修一の恋愛の可能性、関係性の発展

・久美子と麗奈の関係性の終着点

・麗奈と滝先生の関係性の終着点

・葉月がコンクールメンバー選定され得る可能性

・それぞれの進路

・部長、副部長の関係性(これは原作で補完されている。)

・滝先生の悲願である全国金賞、部員の目標となった全国金賞の未達成

・求の父親との間で起こっていること。

・あすかの招待券、ひまわり畑はなんだったのか。

 

このあたりではないであろうか。実際、まだ伏線はあると思う。

しかし、これらの可能性は物語として置き去りにしたままでも問題はない。

今作はその形態に近いと思われる。というのも今回の主題は久美子の成長がテーマにあると私は考えるからである。

奏はむしろ、久美子の成長を考える上での媒介であると考えてもいいと思う。このあたりはもう一度考えたい。

 

では、大きな問題は何かというと、それは持続するということではないであろうか。音楽を続ける、つまり持続性は大きなテーマにあると思う。

実際に奏を久美子が説得するシーン、この持続が問題になっている。

続けて何か意味があるかどうかわからないという久美子の意識は、自己の存在がユーフォと一体化していることである。

麗奈の場合、プロの演奏者になり、自身の生きた演奏を他人に届けることがある意味で目標となり、自己の存在意義となっている。ここに於いて、その純粋性を垣間見ることが出来るのであるが、久美子はより純粋である。

一期で姉にそんなに音大に行くわけではないのに音楽続けて何か意味があるの?という問いに、久美子はユーフォが好きだからという理由で答える。

これが今作まで引き継がれていると思う。久美子はむしろ、自身の好きという感情のみが音楽を持続させる理由となっているのである。

これは麗奈と同じように思うが、ベクトルの方向が少し異なると思う。

 

自身の存在こそが久美子の場合はユーフォなのである。そこには結果やその他の事は全く問題ではない。それが好きという自己の意識こそがユーフォを続けるということが今作で確立されたと言って良い。

 

二期に印象深い、あすかを部活に戻るように説得するシーンで久美子は「諦めるのは最後までいっぱい頑張ってからにしてください!」と言うのはまさしく、自己の音楽の持続意識から来ているのではないであろうか。

 

ここで問題にしたいのは、歴代の部員はこの持続を行っているのであろうか。というのも香織やあすかが音楽を続けている雰囲気がどこにも見られないからである。

 

もしかすれば続けている可能性があるが、私は映画をみてこの感覚は全くなかった。むしろ、あすかの場合、父親と会うということが音楽を持続させる目的だったように、それが完了すればその意味はなくなってしまうのである。

 

麗奈や久美子はこの目的が果てしなく遠い。デカリボン・優子や夏妃は金賞という目標が一端の終わりを遂げたことにより、持続はないと思う。

 

久美子はこの目的の終焉から大きく離れると思う。持続することこそ、実際には全く意味がないと思えても自身の経験にとって深い意味をもたらすのである。

 

これは麗奈が中学に経験し、奏が今作で経験することになる。つまり、持続することによってしかわかり得ない貴重な深い経験を獲得し、自己をより一層深いものとすることである。久美子が本作で自信に満ち、自身で問題を解決し、部長に任されたのもこのためである。

 

つまり、フィナーレとは久美子自身の人格をより一層明確化し、人間として大きな進歩を遂げたという意味ではないかと考える。

 

今作はこの意味で成功していると言えるであろう。

しかし、ユーフォの物語自体これで完結し得ないのは当然であってトータルバランス的にはすこし悪いと言わざるを得ない。

 

2,3回見ればこの感想は大きく変わりそうな気がするので、又見に行きたい。

 

 

 

PS

麗奈がものすごくかわいかったです。特に大吉山のシーンでは一期で適当な格好であった久美子が、修一のために女の子らしい恰好をしたことに落胆気味な麗奈には本当ににやけてしまいました。

でもなんだかんだ修一の相談に乗ろうとする麗奈はかわいいなあ、と我が子のように見てしまいました。

麗奈と久美子の関係性はきっと続いていくと思います。きっとリズと青い鳥を二人は乗り越えるでしょう。